〜 木霊のお告げで発行 2000.3 第 2 号 〜
冬のチョウチョ
後藤 純子 「今年は暖冬だったねー」 ある年の3月友人が言いました。今年もまさにその通りですが、確かにその年も雪は少なく水道が凍るほどの寒い日も少なかったのです。 「この前、山を歩いたら、もうチョウチョが飛んでたよ、ここまで暖冬だとやっぱり異常だよナー。」 ちょっと待ってチョウチョが飛ぶのは暖冬だからじゃないんだよ。 蝶と言うと一般には蛹で越冬し春になってから成虫に羽化するものと思われがちですが、確かに誰でも知ってるモンシロチョウやアゲハチョウはその通りですが実は成虫の姿で冬を越す蝶も多いんです。 岩手県で多く見られる種類には、オレンジ系の羽色をしたヒオドシチョウ、キタテハ、シータテハなどがあります。黒い羽色のルリタテハも冬の雑木林におなじみの蝶です、その他キチョウ、スジボソヤマキチョウといった黄白色系のもの、真っ赤な羽色に鮮やかな目玉模様のクジャクチョウなども代表的な越冬蝶です。 これらの蝶は成虫で越冬するため11月まで見られるし、少し気温が上がると3月になると飛び始めます。 それにしても見るからに弱々しいチョウの姿で、よくもまあ厳しい冬をたえられるものです、毎年の事ながら早春にチョウを見かけるたび感心してしまいます。 |
地球ウォッチャー情報
二酸化炭素CO2濃度依然増加 気象庁のデータより。岩手県綾里371.3・南鳥島369.1・与那国島370.2ppm.私の読んだ古い本では大気中の二酸化炭素濃度は290ppmだったから毎年上昇してるってのは本当なんですね。 世界では異常気象により毎年400万人以上の人が亡くなっています、それも乾燥が主な原因で。 日本は関係ないと思ってはダメ、雪が少なくなっているんです、それに伴い地下水が減り、必然的に川の水が減っています。 中国の黄河の水が河口まで届かなくなったのは、上流の山脈の雪が少なくなったからと言われています。水の危機は歴史的に国家の滅亡の歴史でもあります。 |
ヒメギフチョウとカタクリの花
ヒメギフチョウの食草はウスバサイシン
カタクリの花は誰でも知っています M .N |
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春だ、イサダだ
内田 明 「春来た、イサダ大量だ」紙面に踊る活字。素直に嬉しくなる。 イサダは標準和名をツノナシオキアミと言う2センチほどのエビの仲間である。三陸に大量に生息し、岩手の主要な漁業対象種になっている。10トン程度の小型漁船が、白くて長い目の細かい網をひいて漁獲する、時には山田湾口から湾内にかけて操業する船を見ることもある。市場にプラスチックの籠に入れられて水揚げされたイサダは、オレンジ色がかったピンク色をしている。 春になると三陸の海では植物プランクトンが大量に発生するのだが、イサダはこの時期をねらって産卵するらしい、そうすればふ化した稚エビは餌に困らない。もうそろそろプランクトンの時期だから産卵すっぺーか。とイサダが考える...とは思えない。自然のうつろいの中で、そうしたイサダの一家が、たまたま生き残って繁栄しているのであろう。 人間にとって自然の恵みは不思議のベールに包まれているが、彼等にとっては当たり前の事であるに違いない。 2〜3月に海の表層で群れていたイサダ一家は水温が高くなるといなくなる。冷たい海底付近でひっそりと夏を過ごすらしい。 イサダと言えばアニサキスと言う胃痛をひき起こす寄生虫の中間宿主でもある。クジラやイルカの寄生虫であるアニサキスの卵が、糞とともにブハっと海中にばらまかれ、それをイサダが喰う。イサダをイカ、サバ、サケなどが喰い、魚を人が喰う。これぞ食物連鎖の見本。 経験者に聞いたら、医者に胃カメラで取ってもらったそうな。 イサダは安い、人の食用とはならず養魚や釣りの餌として使われる、もちろん人が食べても良いのだが、油が多くていたみ易いのが食用にならない理由らしい。でも魚を介しイサダが人の重要なタンパク源であることに代わりはない、いずれは人の主要な食物となるかも知れない。 三陸の海でイサダ一家が、いつまでも繁栄することを祈ろうではないか。 |