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森林と環境―磯焼けパターン

エゾイシゴロモ

サンゴモ石灰藻の一種、磯焼けの特徴的な種類。海底が真っ白に見える。

磯焼けから海中林 成立のパターン

1 「サンゴモ平原」による岩礁の占有。

サンゴモ科紅藻(無、有節サンゴ又は石灰藻と言う)「エゾイシゴロモ」、「エゾシコロ」などの特性。

ア) ウニ、アワビなどの植食動物の摂食に強い、表面剥離し易いため他の藻類が付着し難い。
イ) 高水温、低栄養下で発生しやすい、海中林より以深に繁殖するが、海中林が維持されている海域でも林床には無節サンゴモは普遍的に存在する。

エゾイシゴロモはジブロモメタン(揮発性ハロメタンの一種)を常時分泌している(生態相関物質と呼ぶ)。この成分はウニ、アワビの幼生を短時間で着底、変態誘起(Morse et al.1979)させるため、サンゴモ平原はウニだらけになることがあり、その摂食圧が続けば数十年磯焼けが続くことがある。

このような一面においてサンゴ藻は、ウニ、アワビにとって、重要な存在とも言えるが、ウニ、アワビの食料となる海中造林を造成することが重要なため、コンブなどの若芽を摂食させないためにウニを採取移動させ、海中造林の生成をを成功させた例も多い。

2 次の遷移段階

サンゴモ平原には次に一年生海藻が発生する。

付着珪藻ヒトエグサ(ヒトエグサ科)の仲間やアナアオサ(アオサ科)等の発生は、摂食障害およびウニ、アワビなどの着底変態阻害物質(化学的防御効果を表す)を出し、植食動物の摂食圧をやわらげる。エゾヤハヂ(アミジグサ科)はケカジ草(凶作草)と呼ばれ(重茂周辺)多量のジテルペンを発し、ウニ、アワビを追い払ってしまう、この状態を漁師は「磯焼け」と呼ぶこともある。

ヒトエグサ

エゾヤハジ

3 海中林の形成

小型多年生海藻の発生が遷移の進行を促進し、エゾイシゴロモの発生する温度より5℃位の低温でコンブ属藻類が発生する。コンブ科は低水温高栄養の条件下で発生する。

(水温が高く、低栄養下の場合でも一年生大型藻ホンダワラ科の藻は発生する。)

「海中林」を構成するコンブ科アラメは亜熱帯〜亜寒帯にかけての重要な海藻類でその成熟に2年を要し、平均寿命は満6年である(谷口ほか1991.1993)。

アワビやウニの這い上がり防止ブロック。

〈海中林の人工造成〉

海中林形成の段階で、人工的管理技術として次の例が成果を上げている。

1 ウニの大量駆除又は餌料供給。

2 ロープに養殖したマコンブ藻体からの遊走子供給、などによる海藻群落の調整。

3 コンクリートブロックや海藻礁に植食動物の這い上がり防止装置の取り付け。

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