会報木霊の駅
〜 木霊のお告げで発行 2000.3 第 2 号 〜

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里山林の活用を考えよう!

 

1.『20世紀の環境コスト』

 新しいミレニアムが始まった。思えば、私たちの生活は「豊かに」も「便利に」もなった。飽くことのない人の欲望実現の陰に失くしたことも沢山ある。いろいろな事どもを捨てたことによる矛盾が世の中のあちこちに噴出し、それが毎日の新聞を賑わせている。その一つに地球全体で生じている環境破壊がある。21世紀の全人類の合い言葉にもなり、環境破壊の修復などが新たな産業を作ると期待もされている。これらの課題を20世紀型のコスト主義(経済効率第一)で解決しようとすると必ず抜ける分野が出てくるはずである。そのことが心配でならない。その中に森林があり林業があるように思える。

2.『森への観念』

 今の森林保護運動は、「山が緑であればよい」、「樹を伐らなければよい」と言っているに過ぎず、森林の保全に障害となっている。森林に豊かな緑があれば豊かな自然が保全されているとは限らないからだ。森林をその生成過程で分けると、原生的な森林、里山林と人工林になる。人の活動が及ばなくても森林を維持する能力を生来的にその中に保有している生態系は原生的な森林だけである。里山林は人が生産活動の場として活用して維持される、人工林は保育活動を施さねばならない生態系である。従って、両生態系の維持には方法論を異にせねばならない。

3.『里山というビオトープ』

 昭和40年代の日本の高度経済成長にもよる私たちの生活の近代化は農業も林業も大きく変えた。休耕田が増え、林も放置されるようになった。私たちの周りに田んぼや畑、川や溜池があり、薪炭生産林などがある。これらを含むゾーンを里山と呼ぶが、あまりにも身近な環境で激しい人為の加わった場所のため、重要な生態系と今まで考えられていなかった。最近、田んぼも水田の時には水生生物が、乾田の時には他の生活能を持った生物が棲み分けていることが明らかになってきた(田端 1997)。また、里山林もパッチ状に皆伐した林と成長した林分とで生物が棲み分けたり移動するのである。高等植物の 1/3 の種が今絶滅に瀕していると環境庁が報告しているが、実にその多くが私たちの集落の近辺、里山で起こっていることなのである。里山という生態系を長い時代を掛けて人が維持し続けたことによって他の生物がその環境に適応し、そこで生活するようになったのである。

4.『身近な森という資源』

 自然を守ることは、種の維持 、 生物の多様性 - を守ることが大きなウエイトを占める。地球上にはさまざまな生態系があり、それらの保護活動も必然的に多様であり、どれも大切である、私は里山林の保全に興味を持っている。と言うのも、長い間、微生物の生理体型を研究していて、現在、岩泉町でマツタケの研究に携わっているからだ。マツタケは里山林の重要な構成樹種であるアカマツをホストにするキノコで、アカマツ林が放置され富栄養化した林床、土壌になりマツタケが駆逐されている。アカマツ林を1950年の状態に戻せばマツタケは増産できる。このことは里山林の活用に一つの方向性を示している。また、ヨーロッパやアメリカのように、コジェネ(熱電併給システム)による木質発電を利用する。新しい概念の炭を作り活用する。まだまだその実現には課題も残るが、里山林という持続可能な資源の有効利用に大きく舵を切るときが日本に来ている。

引用文献:田端英雄著者 里山の自然/保育社/1997.
2000年3月3日 
岩泉町松茸研究所所長 吉村 文彦

 

なんだがワカラン後記

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 イヤー参っただ、こないだ車ぶっつげで30万がパー、古グなったパソコン買い換えようと思ってだのに。みなさーん安全運転してる人思い切って買い物しましょー景気対策のために。
 会報三号のため感想下さい。

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