会報木霊の駅

木霊”こだま”のお告げで発行

第 13 号

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山菜の候。木霊の駅会長、工藤悦郎 スノーシュウで歩いた平庭高原。万澤安央
木霊の駅、新入会委員紹介 自己紹介、岡崎淳一
地球温暖化大作の盲点(その1)川村晃寛 お便りコーナー。北海道、岩井芳枝
木霊のお告げ解答。橋上智 木霊のお告げ解答。後藤純子
最近の様子by宮古駅。斉藤真琴 森は尽きないエネルギー。domo中野
ブナが与える野生生物への試練。藤原勝志 虫の話、バッタ陽気。後藤純子
編集後記。川村冬子 久慈川の会


虫さんのおはなし            後藤 純子
バッタ陽気(Grasshopper Weather)

 ローラ・インガルズ・ワイルダーをご存じですか?NHKのTV番組でおなじみ「大草原の小さな家」の主人公でもあり作者でもある、あの元気な少女ローラちゃんです。原作は、彼女が少女時代に体験した開拓者生活を素材にした自伝的物語で、単行本9冊分もの大作です。
 そのシリーズのうち、「プラムクリークの土手で」の中に、表記の言葉が登場します。 霜が降りる季節になっても暖かく、冬になってもさっぱり雪が降らないおかしな気象を、古老の人は「バッタ陽気」と言い伝えていました。なぜそんな名前がついたのか、ローラの家族も周囲の人も誰も知りません。
 けれども、それは翌年明らかになりました。夏にバッタが大発生して、ローラの家の農作物が全部食べられてしまったのです。
 実は、バッタ類の大群は聖書にも記載されているほどで、古くから人々を苦しめてきました。バッタ類はごく高密度で生育すると、色彩や体型、さらに行動までが移動しやすい性質に変化します。そのため、大群になったバッタ類は、一カ所の緑を食い尽くすと、次の緑を求めて遠くまで飛んでいけるのです。その大発生の原因には、干ばつとその後の降雨など気象が関わるようですが、上記の通り、ローラの時代にそれを示唆する言い伝えがあったのは興味深いところです。
 ここで気になるのが、今年の春の早さです。東京では、観測史上最も早い桜の開花を記録しました。バッタじゃないでしょうが、何か思わぬものがどっと出てこないか、ちょっと心配です。
"編集後記:今回はお便りどっさり!新会員さんも大挙!ということで初の増頁8ページ。それでも掲載できなかった原稿が…申し訳ない、また次号です。/早過ぎる春の話題でもちきりですが、早いのは花だけなのか。「木霊の駅」のホームページ見て下さい。中野編集長が「こだまの季節日記」で写真とともに解説しています。花は咲いたけど虫さんたちはまだ活動を始めていないから、今年は花ばかりで実のならない凶年になるかも?!地球温暖化の影響なのか単発的な異常気象なのか、いずれにしても自然界は微妙なバランスの上で揺らいでいるのだ。/盛岡駅長・川村とーちゃんが渾身の連載を始めました。「地球温暖化対策の盲点」人間は何をしてきたのか、これから何をなすべきなのか。うわべだけの""環境保護""に陥らないために、確かな知識を身につけ、賢くそして豊かに生きましょう。(FK)"

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今年も山菜の候です
木霊の駅会長 工藤 悦郎
しばらくご無沙汰しております。
雪の東北も今年の春はいつもの年と違って、雪解けも暖かさも早く、自然を相手の人々を惑わしております。特に、各地の桜の名所では例年の「桜まつり」の繰上げやホテルのキャンセルなどでテレビ・新聞を賑わしましたが、「桜前線」は確実に北上しています。自然界の変化にとまどいながらも、北国の人々は春を待つのです。
 そして、日本の食文化の原点である山野の食草(山菜)を求めて、初めは近くのセリ・ナズナの「春の七草」から始まって、山の中のシドケ・タケノコなど、夏まで山の幸の恩恵に浸るわけです。
 そこで、自然食ブームにのった山菜とりのマナーの悪さに一言苦言を呈すれば、そこにあるものを根こそぎ取ってゆく、来年のことなど考えない、というやり方が横行しています。特に最近目につくことは、タラノメの採取にあたりタラノキの幹を切っていく人が多い、これではタラノキは死んでしまいます。今年も自然の恵みをありがとう、来年もまたよろしくね、の気持ちを忘れずにしたいものです。
 ところで、山菜の名称は、地方によっていろいろの呼び名があります。これを方言と言っています。地方の呼び名は、それぞれの味わいがあり捨てがたく、いつまでも残っていくと思うし、残ってほしいと思います。
 例えば、シドケ(もみじがさ)、ボンナ(いぬどうな・かにこうもり・よぶすまそう など)、ミズ(うわばみそう)、アイコ(みやまいらくさ)、ソデコ(しおで)、アイヌネギ(ぎょうじゃにんにく)、タラッポ(たらのめ)、ヒロッコ(のびる)、フクベラ(にりんそう)、ヘビアサ(はんごんそう)、コゴミ(くさそてつ)、ウルイ(おおばぎぼうし・たちぎぼうし)などがあげられます。
 せっかくの山菜を味わうときは、やはり地域に根ざした名前(方言)で食べるにかぎります。「コゴミの胡麻あえ、シドケのお浸し、タラッポの酢味噌あえ」と言えば、おおかたの人は食膳になくても、イメージだけでも食欲をそそられると思います。コゴミはコゴミ、シドケはシドケであり、山菜として利用する場合は、「くさそてつ」でも「もみじがさ」でもないのです。ここで植物名の中で方言の重みが出てくるわけです。
もともと植物名は、長い日本の生活の歴史の中から名付けられたものが多いと思っています。日本人の食文化の原点として山菜があり、古き時代から山野の草木を食材とした歴史があります。豊富な西洋野菜が売り場を占めるその中で、この時期山菜はちゃんと自分の存在を誇示するかのように並んでいます。
 時として、これを食べられるの?と思われるものも見つけることがあり、ビックリさせられます。これも日本人の食文化の奥深さを教えられます。
 自然食ブームの中で、野山に出かけ春の自然を愛で山菜を頂いてくるのは大変良いことですが、最低限のマナーは守ってほしいと思います。植物も生き物です。本来は動物達に傷つけられたくないのです。だからタラノキやハリギリのようにトゲを備えたり、ワラビのようにアクが強くてそのまま食べると害があるようになって身を守っているのです。この植物達の気持ちを察してあげ、自然愛護の気持ちを持った、節度のある山菜採取にしたいものと思います。それによって持続的な資源の保持を考慮し、豊かな自然と日本人の食文化が長く維持されてほしいと思います。

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新入会員紹介

この春、新たにたくさんの方が木霊の列車にご乗車くださいました。(住所等は巻末の2002年4月末現在名簿をご参照ください。)

●岡崎 淳一(おかざき じゅんいち)さん
いまどき珍しいえーえ青年。
★齋 浩太郎(いつき こうたろう)さん
"会員・大塚隆久さんと一緒にネイチャーイベント団体""SEED""を運営しています。"
◎忍頂寺 裕子(にんじょうじ ゆうこ)さん
「人と人とが出会う喜び、もっと楽しく もっと豊かに もっと自らを成長させる
ためにくらしてゆきたいと思っています。」
◆阿部 益郎(あべ ますろう)さん
イヌワシの生態を研究しています。
○萩原 靖子(はぎわら やすこ)さん
年間通して山行を楽しんでいます。特に飯豊連峰が好きな山です。
☆荻原 富士子(おぎわら ふじこ)さん
「ゲレンデスキー・山登りが好きです。高山の花に逢いたくて山登りをしています。皆が四季の風景をゆったり楽しむ生活に目を向けてほしい。」
▲堀江 真紀子(ほりえ まきこ)さん
荻原さんと高山植物を見に行く「山女」さんです。

自己紹介

仙台市  岡崎 淳一
 自分のことを「ハワイ生まれの中国育ち」とよく飲み屋でネタにしてますが、一応本当です。入社してからずっと仙台で、今年で5年目になります。現在、主に環境調査をしている部署にいますが、もともと土木出身なので全くと言っていいほど知識はなく、修行中の身です。
 会社の先輩である川村さんのご厚意で入会させていただくことになりました。みなさんと比べると(失礼かもしれませんが…)、若造なので場違いな気がしますが、友達から化石と呼ばれるほど俗世にあまりついていけていないので、個人的には居心地がいいです。いまだに人見知りをしてしまうので、とっつきにくい奴と思われるかもしれませんが、宜しくお願いします。

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地球温暖化対策の盲点(その1)
連載 なしてあそごさ山あるべ〜のんべのための環境地質学講座〜 盛岡駅 川村晃寛
 今年の春は異常に早くかつ速く訪れました。奥山では吹き溜まりの雪がまだ残っているのに、その脇には年しょったコゴミが...。タラボもおがり切ってしまった。平庭の雪も今春大量に吹いた黄砂のせいで黄土色だったし。テレビやインターネットでは、エルニーニョ発生の兆候や南極の棚氷の崩壊を報道しています。これらは全て地球温暖化のなせる業なのでしょうか?(さもありなん的なメディアの氾濫)
 この講座始まって以来の深淵なテーマに既に挫折しそうですが、地球温暖化のメカニズムが理解されていないために生じる誤解も多いように感じる今日この頃、敢えてパンドラの箱(!?)を...。

地球温暖化とは?
 地球は少なくとも過去200万年の間、氷河期と間氷期を周期的に繰り返してきた。これは、地球軌道のぶれで太陽から受けるエネルギー量が数万年のサイクルで変わってきたためである。現在は、1万5千年程前に終焉した最終氷期に続く時代で後氷期と呼ばれ、約7000年前に温暖のピークを迎えている。縄文時代の平均気温はここ最近の平年気温よりも恐らく高く、北日本の縄文人の暮らし向きは、比較的楽だったと想像されるのである。ただしこのように地質時代的に見ると、現在は温暖のピークを過ぎた寒冷期に向かう時期なのである(ポイント1)。通常であれば地球は2〜3万年後に氷河期を迎える筈なのである。地球温暖化とはこのような宇宙や自然の営みによる気候変動とは異質の、人間活動の活発化がもたらした二酸化炭素の排出による温室効果の増大(ポイント2)とそれに伴う諸問題のことなのである。縄文時代の温暖化とはわけが違うのである。

温室効果とは?
 その名の通り、地球が温室状態になることである。二酸化炭素に代表される温室効果ガスは温室のビニールの役割を担う。しかし温室も日が射さなかったり、大きな穴が開いていればいずれ外気と同じ気温になる。つまり温室効果とは地球大気圏外への熱の放出を遅らせ、大気に熱を貯留させる効果(ポイント3)なのである。

温室効果ガス(GHG=Green House Gas!)とは?
 人類の出現以前から存在していたGHGには二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、水蒸気(H2O)、対流圏オゾン(O3) ごく僅かの亜酸化窒素(N2O)などがある。人間活動の活発化に伴い問題となってきたGHGはCO2、CH4、N2Oと人工物であるフロン類などである。フロンはオゾン層の破壊をもたらすということで92年既に段階的廃止が決まっているが、これが地球温暖化に一役買っていたということはあまり知られていない。97年京都で気候変動枠組み条約第3回締約国会議(COP3)が開催され「京都議定書」なるものが策定された。これはGHG削減に関する世界初の具体的取り決めなのだが、その中でGHGとして次の6つの削減を謳っている。数字は温暖化への寄与率を示している。

1.二酸化炭素(CO2) 60% 化石燃料消費、森林伐採
2.メタン(CH4) 15% 畜産、永久凍土、泥炭地
3.亜酸化窒素(N2O) 6% 化石燃料消費、肥料
4.ハイドロフルオロカーボン(HFC) ?% 冷媒、工業使用
5.パーフルオロカーボン(PFC) ?%    〃
6.六フッ化硫黄(SF6) ?% 変圧器(フロン類似物質)

" このうち4,5はオゾン層を破壊しない代替フロンで未だ使用を制限されていないものである。温暖化への寄与率は簡単に算出できないので新物質は?になっているが、最近まで使用されてきたフロン(CFC)の寄与率は17%とされており、4〜6も寄与率は高い筈である。 GHGの中で個人のライフスタイルの改善により直接間接問わず削減できるのは1〜4であるが、中でも二酸化炭素削減が最も大きな効果を生む(ポイント4)。"

議定書における二酸化炭素削減とは?
 京都議定書では、GHG排出量の直接削減の他に二酸化炭素の森林による吸収も削減効果として認められている。森林の効果をどのように見積もるか?この点について不適切な報道がしばしば見受けられる。実は、既にある森林や緑地は二酸化炭素の一時的な固定源としては機能しているものの、新たな吸収源としては機能していないのである(ポイント5)。森林は二酸化炭素を吸い込み光合成によって炭素を固定し、酸素を排出している一方で、動物と同じように二酸化炭素を排出する呼吸も行っている。またいずれ枯死し土中で分解される。成熟した森林ではこのような過程が繰り返されているため、二酸化炭素の収支はプラマイゼロなのである。そこで議定書では、吸収源となる森林を新たな植林に限っているのである。

再び地球温暖化とは?
 今年の1月、最も権威ある各国科学者の会合(IPCC)で、地球の平均気温が今世紀末に1.4〜5.8℃上昇すると予測する報告書を発表した('95の予測では1.0〜3.5℃)。また、1860年から0.4〜0.8℃の上昇があったことを明らかにした。二酸化炭素は植物起源の化石燃料を燃やすことにより、また森林面積の減少によりダブル蓄積の形で大気中により多く貯留されるようになってきているのである。酸素と結合して気体となる炭素は、地質学的時間スケールでは地圏、水圏、気圏、生物圏を化合物の形で循環しているのである(炭素サイクルと言う)。地球温暖化の最大原因は炭素が長く気圏に留まっているためであり、それを解く鍵は増えすぎた大気中の炭素を如何に地圏、水圏、生物圏に戻してやるかなのである(ポイント6)。

 今回はちょっと難しくなりましたが次回は炭素サイクルについての話と、薪炭の利用、木造建築等の位置づけ、個人として出来ることなどを考えたいと思います。

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お便りコーナー

 平成十二年秋、白神山地へトレッキングさせていただきました。その節はお世話になりました。春のブナ林へも行きたいと思っていましたが、雇われの身、休みが取れなくてブーブー言っています。
 白神でブナの実を拾い、トチノキの実をもらってきました。山遊びのフィールドが手に入ったので、育てることにして、昨年春、庭に播いて芽がでました。ブナは小さいので十一月の少量の雪で埋まってしまったので安心していましたが、十五センチほどに育ったトチノキは写真のとおり一月二十七日現在寒風にさらされ、春には芽を出さないのではないかと心配しています。次の日二十八日、低気圧の大雪でめでたく埋まりましたが、零下十六度の日もあったので。
 会長から、発泡スチロールの箱をかけた方がよいと聞いていたのですが、つい無精をして寒風にさらしてしまいました。
 雪も含めた年間降水量が七五〇ミリの半乾燥気候の北見ではブナがかわいそうです
ので、山に植え替えるときは水の条件が良い場所を探します。
 トチノキは街路樹でもありますので育つと考えていますが、エゾシカにやられてしまわないか気がかりです。ブナもトチノキも北見では自生していません。
 山遊びのフィールドは、六.六haあり、内一.九ニhaは畑だったところで、もっぱら
夫がシラカバやカラマツなどを植林中です。私はそばでうろうろと遊んでいます。
秋には落葉キノコが採れました。間伐も始めたので、薪を作り、小屋でストーブを焚き、昼寝を楽しんでいます。
 したがって、いもおばさんは現在「だるまおばさん」状態になっています。
二〇〇二.ニ.五
北海道北見市 岩井芳枝


久慈川の会
 木霊の駅第12号が2月2日発効だったから、もう3月。私にすればアッという間だったけれども、編集者にすれば首を長くして、イライラの3月だったと思います。
 イライラさせた張本人が2月末から体調を崩し、鳩尾から背中にかけて痛く食欲がなく、3月末には体重が2キロ以上減少、ああまた起きたか(十二指腸潰瘍が持病、50年も薬を飲み続けている)と、痛みが治まるのを待った。
 4月5日カメラを飲んだら「完全な潰瘍ですよ、よく我慢しましたね」新しい薬をもらって帰った。6週間飲んだらまた様子を見るという。
 前書きが長くなりました、ごめんなさい。事務所の前の河原の柳の芽の黄緑がだいぶ目立ってきました。堤防の桜が昨日あたりから散りはじめました。雪どけの増水が治まって川底が見えてくると、醜いゴミが目につきます。農業用のビニールシート・古タイヤ・自転車・アルミ缶・ペットボトル、上流の方に行けば、冷蔵庫・テレビまで捨ててある。
 電化製品を引き取るのが有料になればこれからも不法投棄があとを絶たないでしょう。無料にしてメーカーから税金を取るとかなんとか考えなければ、どうも日本の政治家は業界に弱いような気がする。
 上流では、去年の暮れ雪の降る中を山形中学校の生徒たちが渓流の清掃をやった。今年も継続して実施するという、この姿をゴミを捨てる人たちに見せてやりたい。
 葛巻祐二さんへ、「久慈川の淡水魚」は94年に2000部印刷しましたが、すぐ売り切れました。此の頃関東・関西・遠くは九州方面からも問い合わせがあります。増刷のために版は取ってありますが、資金難と、はたして売れるかどうか自信がないので、今のところその計画はありません。
 新入会員ですので、皆さんのお顔を知りません、会員全部は無理でしょうが、県北地区だけでも(青森県南も)顔をあわせる機会を作っていただきたいと思います。
(久慈市 高山賢一さんより)


竹中啓子様(第12号の”お告げ”について)
おたずねの虫は、おそらくケバエの仲間の幼虫です。ハエというよりカやガガンボに近縁の虫で、何種類もあります。一般に幼虫は土中の枯れ葉などの腐食質を食べ、越冬後、5月頃から成虫になって飛びまわります。晩秋にはしばしば図のような集団で見られます。ちょっと気色悪いかも知れませんが人畜無害の虫なのでご安心を。
(花巻市 後藤純子さんより)

宮古駅 最近の様子
 私の仕事場は、陸中海岸国立公園の近くで海岸から3〜4キロメートル離れたところです、約80haのスギ、マツの人工林で50%が35〜40年生の間伐が必要な林分です。仕事内容は間伐、道路開設、乾椎茸生産です。それぞれ生産組合を作り行政の援助を受けた仕事になっています。
 私は林業を楽しみ、面白くしたいと考えています、その一つがマツ林の整備によりマツタケの生産、またスギ林ではモミジガサを増やそうと考えています。将来は仲間を集め自分で育てたスギで丸太小屋を作りたいと思っています、その時は皆さんのお力をお借りしたいと思っていますので宜しくお願いします。
 宮古の木材市場ではスギ林の手入れ遅れの為かハチカミ、トビグサレの材がときどき見られます、私の山でも有りますがそんなのを見ると将来が心配になります。
" イントラクターとしては、""森を考える会""のメンバーとして月に一度の割合で市民を対象に自然観察や野外活動していますが、その度に自分の知識不足を思い知らされます。去年は櫃取湿原、早池峰山北面、十二神山(重茂)、薬師岳、また陸中海岸の女遊戸(おなつぺ)海岸での竹飯・燻製作りなど、それぞれ勉強になりました。今年は3月10日に人工林の観察とクロモジの利用について観察会を開く予定です。どんな人達が集まるか楽しみです。"
2002年2月10日    宮古駅  斉藤眞琴

木霊のお告げ解答。橋上智

皆さんこんにちは。木霊の駅に2回も出させていただいて、非常に嬉しいやら悲しいやらの橋上です。
 3月17日スノーシューハイクご苦労様でした。木霊の駅の皆さんとお話しする時間がないのが少し残念でした。今度こそ勇気を出して・・・
 さて私への質問の答え
@杉の枝張りの仕方
 一言でいうと気まぐれ、テキトーだと思います。(昔仕事で苗木を種から作りましたが多分そうだと思います。)
A広葉樹の実のなる苗木の入手方法
 クリ、コナラ、ブナの苗木はお近くの森林組合にTELを下されば入手出来ます。それ以外の特殊な実のなる木の苗は事務局長の中野さんに連絡してみて下さい。山の神からいただけるかも・・・ダメカナ!
B森林組合とはどういう団体
 基本的には組合員(出資金1000円以上)を出してくれた山を持っている人達の経済的、社会的地位の向上を第1目的とし、あわせて森林資源の維持培養と森林生産力の増進により、国民経済の発展に資する・・・ヨースルに海の事は漁協、山は森組と考えて下さい。アッ質問がかけない!
(久慈市 橋上 智さんより)

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森は尽きないエネルギー10。まさゆき中野
 前回パート9より、アサ、カヤ、ヨシをもっと詳しくというアンコール?
 麻はクワ科《強靱で長い繊維がとれる植物の総称を言う場合もある。アマ(アマ科)、カラムシ(イラクサ科中国原産)、ツナソ(シナノキ科)、マニラアサ(バショウ科)など》、紙を漉(す)くコウゾ(ミツマタは中国原産ジンチョウゲ科)と同じ仲間だが外来種。狭義には大麻のことを言う。独特の強い臭いを発し、人の背丈より遥かに大きくなる。この実をかじると「一日中おもしろい」と昔年寄りが言っていた。覚醒剤原料として栽培が禁止される由縁である。だが麻の繊維を取った茎を昔は屋根葺き(軒さき)に使った。芯は中空だが腐りがたく強い。
 葺(あし)は悪しにならぬよう、ヨシ(善し)と呼ぶ。南米チチカカ湖のアシの島に暮らす住民、船はアシを編んだもの(テレビで)。萱(かや)葺き屋根と言えばカヤが定番だが、近年は青森の小川原湖などのアシを使う。強くて長もちすると言われることと、野焼きが減り良質の萱(カヤ)が少なくなったためだ。
 日本の川につる状に伸び生育しているのはツルヨシ(アシ)。川の水をきれいにし、魚や鳥の住処になる。陸上の湿地を這い生育しているものはオギヨシ(山形村ではオニガヤと呼ぶ)。冬枯れしながらも雪の中に立っている強さがある。編んで風よけに使う。この若芽を噛むと甘く柔らかく牛馬の餌になる。
 カヤ(ススキ)はイネ科、アシも同じ。前者は乾燥地に生え株立ちする、若芽のうちは牛馬の餌、秋は刻んで家畜の敷き藁(わら)になり良い肥料となる。休耕田に生えているオギヨシの敷き藁も優れた農肥となる。リンゴの受粉を助けるマメコバチはアシガヤに巣食う。これらは人間が刈ったり火を放つことで良く生育する。人と他の動物や生き物、どこかで繋がり助け合っている、尽きないエネルギーの基本はここに有る。
(昔の屋根葺きは結(ゆ)いと言って刈場から建築まで地域の共同作業で順繰に行った。)

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ブナ林が与える野生動物への試練 ,藤原 勝志
 ブナ種子の結実状況を13年間にわたり青森分局が調査したものが下の表です。
 豊作の周期は、青森県では3〜5年に1回、岩手県では5年に1回程度、宮城県では5年に1回となり、ブナ種子の豊作の周期は概ね5年に1回程度であることがこの表から予想されます。
 また、皆無の周期は、青森県では3〜5年に1回、岩手県でも3〜5年に1回、宮城県では不定期に多く見受けられますが、概ね3〜5年に1回程度、豊作の翌年に多く発生しています。
 ブナ林に生息する動物達にとってブナ種子の豊凶は死活問題です。特にツキノワグマやネズミ等にとっては、ブナ種子の豊凶が出産に大きくかかわっており、皆無の場合は生死を分けるきびしい試練となります。このことからブナ種子の豊凶は、動物達の個体調整の役割を果たしているものと見ることができます。
 ブナ林が広がる白神山地の奥地へ数年前入って気づくことは、動物の足跡が少なく静寂の世界が広がっていることでした。それに比較して対照的な私の住む北上山地は、思った以上に動物の影が多く、それも多種であることです。
 北上山地の山は、ブナも生育していますが、ナラ・トチノキ・クリ・アカマツ・カラマツなど樹種が多種です。ブナの森と聞けばクリーンなイメージですが、種子の豊凶がはっきりと見られ、ブナ林は野生動物の生育にとって大変きびしい環境かも知れません。

〈ブナ種子の結実状況〉     (東北森林管理局青森分局資料)   
元年 2年 3年 4年 5年 6年 7年 8年 9年 10年 11年 12年 13年

青森県 並作 並作 皆無 豊作 凶作 凶作 豊作 皆無 凶作 凶作 皆無 豊作 皆無

岩手県 凶作 並作 皆無 並作 凶作 皆無 豊作 凶作 凶作 凶作 皆無 豊作 皆無

宮城県 皆無 豊作 皆無 凶作 凶作 皆無 豊作 皆無 皆無 皆無 皆無 豊作 皆無

註1:調査ブロック数 青森県 38、岩手県24、宮城県6
註2:調査用語説明 豊作:ほとんどの木に結実 凶作:一部の木に結実
並作:約半数の木に結実 皆無:全く結実が見られない

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スノーシューで歩いた平庭高原
安代町 万澤 安央
 この冬あれだけ積もった雪が春先から続いた異常気温の影響でどんどん解けて、スノーシューハイク実施の前日に心配しながら見に行ったのだが、さすがは平庭高原、会場となる森の中の雪は東斜面のおかげでまだしっかり残っていたのでやれやれと一安心。
さて、翌3月17日、大挙30名が参加した記念すべき第一回の平庭高原スノーシューハイク。キャンプ場わきの道路で参加者たちは初めてのスノーシューをはき、いざ森の中へ。
当日はあいにくの空模様で雨がぱらつき、気温も高いのでところどころ雪のぬかるみ状態。例年のこの時期には決してこんなことはないのだが、こんな状態だと歩き心地に爽快さが感じられないので、ガイドの私としては、初めての人々にスノーシューの魅力が十分伝わらず、じつに残念なコンディションだ。だが、和かんじきと違って、歩き方にも特別なコツはなにもいらないので、50メートルも歩くと普通に歩けることに皆さん自信をもったようす。
 そのことは別としても、スノーシューのよい点は、だれもが自分の体力や気分に応じたペースで歩くことができる点である。
 しかし、いきなり多人数で歩き始めたのではどうしても自分のペースがつかみにくい。そこでキャンプ場広場の中で、全員に目をつぶって歩いてもらう。そして自分にとって快適な歩幅や速度を、自分の体に聞いてみるのだ。すると脈拍や呼吸がそれに答えて、ちょうど心地よいペースが自然にわかるのである。目をつぶることで気持ちが自分の内面に向くから、自分の体に聞いたその答えもつかみやすい。日頃は問答無用で体を痛めつけることの多い人も、こうして人体の巧妙な仕組みを実感すると、素直に感謝の気持ちがわいてくるというわけである。
 ちなみに、スノーシューでは両手にストックを持っているので、目をつぶってバランスを崩しても転ぶことはまずない。万一転んでも雪の上だからけがの心配もない。ただひとつだけできないのが、あとずさりである。スノーシューの構造上、あとずさりすると後端が雪に突き刺さるからだ。これだけはしないでねとはじめに注意しておいたのだが、それを忘れた参加者の一人がものの見事に転んで笑っていた。
 平庭高原には、面積は大きくないものの伐採せずに残しておいたミズナラやブナの大木がところどころにあるので、林ではなく森という雰囲気が立派に残っている点が魅力である。
 みなそれぞれのペースで歩いていると、突然、右手から美しい茶色の動物が左手の山の方に走りだした。テンである。
「テンだ!みんな見て!」と大声で知らせると、ほとんどの参加者がそれを見て驚嘆している。見る間に遠ざかって姿を消したその逃げ道に、テンテンとテンの足跡…まさに打ち合わせどおりである(ウソ!)。テンの足跡はウサギとちょっと似ているが、鋭いツメのあとがあり、足の形もすこし丸い。目の前を走りぬけた動物の足跡を眺めて皆さん満足そうである。
 スノーシューの驚異的な登坂性能に助けられながら、急斜面のある森を上りきって山頂の富士見高原に出る。このばあい富士とは南部富士、つまり岩手山のことである。
天気のよい日は岩手山、姫神山が遠望でき実にすがすがしい。当然、風当たりは非常に強いので、1月に下見にきたときは風の芸術である風紋や、美しい立体的な造形が見られ、寒い思いをしてでも見に来る価値が十分にあるぞ、とガイド役の私としては密かに宝を発見したような気分でいた。が、この日の草原は雪がすっかりとけてしまい、一部には枯れた野芝が露出していて、雨雲におおわれた空の下に、遠くの山が見えるはずもなくちょっぴり残念であったが、しょせん人間の目論みなど異常気象の前には無力である…。
" それから""こだまのお告げ""で行動する(?)森林官である中野さん率いる参加者の皆さんは、森の中をすこし遠回りしてブナの大木などを見て大満足で戻り、最後にフォートナムメイソンのミルクティーを飲んでこの日のスノーシューハイクをしめくくった。"
 所要時間約2時間、皆さんの顔が輝いていたのが印象的だった。

 さて、それから4日後の3月21日春分の日にも、参加者8名で第2回目のスノーシューハイクが行われた。こんどは適正人数なので、グループの雰囲気もいっそうなごやかである。
 この日は前回のメニューにくわえ、自分の好きな大木に背中をつけて気をもらう実習をした。
 やり方としては直径40センチ以上の大木がいくつもある場所に参加者をあつめ、まわりをながめてまわして自分がそばに行きたいと思う大木を選んでもらう。(その木が呼んでいるから)そして背中を幹につけ約5分間、(本当はもっと長いほうがいい)目をつぶって静かな心もちで何も考えない。しばらくすると深呼吸が自然とでき、じつに爽快な気分になる。
 実際、参加者の皆さんは「ずーっとこうしていたいほど気持ちがいい」と感想を述べていた。木の種類が多い森では、たとえばブナの木は落ち着きと自信、カバの木は優しさ、調和をくれるというぐあいに、自分に足りないものを埋め合わせてくれる木を選ぶと良いのである。
 森の国ドイツ、となりのフランスでは、森に入ったらこういう方法で森の気を持ち帰ることがいまや密かなブームになっており、立派な本も出ている。森の中に入ったときの楽しみ方はいろいろあるが、山菜やキノコなどの獲物を持って帰ること以外にも、こんな収穫をもって帰ることもできるのだという点が、これからだんだんに知られることになるだろう。そのことが、あらためて自然界の営みの偉大さに感謝と尊敬の念を抱かせるにちがいない。
 ともあれ、いままでだれも足を踏み入れることのなかった冬の平庭高原の森で新しい体験ができるようになったことは、森を愛する人々にとってこのうえなく有意義だった。つぎの雪の季節がいまから楽しみである。
 最後に中野さんをはじめ、参加されたこだまの駅会員の皆さん、おつかれさまでした。(おわり)

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