みちのくエコーステーション 木霊”こだま”の駅会報 

会報木霊の駅

木霊”こだま”のお告げで発行 第 7 号

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  白神トレッキング。藤原

白神のいわれ。吉川進

カメムシゾロゾロ。後藤純子

吉川進の山菜教室

カメムシの多い家に住んでる。菊地美和

山歩きで国家試験合格。斉藤紀子

新入会員紹介

森は尽きないエネルギー...4

冬子のチョットだけよ編集後記

白神山地の紅葉を満喫

「世界遺産白神山地ふれあいトレッキング」

2000年10月20日〜21日開催

仙台駅担当 藤原勝志

 今年2回目となる「みちのくエコーステイション」主催のトレッキングは、参加者総勢33名、青森方面から工藤会長他11名が自家用車で、宮城方面から22名が仙台駅発の中型バスで合流しました。遠くは北海道北見市や東京都立川市などから参加された方もありました。また今回は産経新聞東北総局の小野淳一さんが取材同行されました。

 バスには、添乗員として会員の大塚さん、後藤さんと私の3名が同乗、車中では大塚さんからブナについてクイズで楽しく解説して頂いたり、後藤さんからカセットテープを使用して日本のコオロギの鳴き声の特徴を解説して頂きました。

 秋田県八森町の「ぶなっこランド」には12時過ぎに到着、参加者の紹介の後、二ツ森登山道入口に向かいました。二ツ森の中腹からは紅葉が見頃で、バスの中から「とてもきれい」と歓声が上がりました。また話題の青秋林道からは白神岳方面を眺めることができました。

 登山道入口で参加者を班分けし、各班のインストラクターには工藤会長、会長の昔からの友人で白神山地に詳しい熊谷さん(熊谷さんから貴重な白神山地の資料の提供を受けました)、松尾さん、大塚さん、後藤さんと私があたりました。

今回のイベントのサブタイトルは「黄葉と夕陽海岸温泉を楽しむ」でしたが、標高1000m以上のブナの黄葉はすでに終わり、茶褐色となっていました。また帰路は雨で、日本海に沈む夕陽は見られませんでした。それでも頂上に立つと、曇りながら広大な白神山地のブナ林を見ることができました。松尾さんはここが世界遺産に指定される前にイワナ釣りに入っていたことから周辺に詳しく、頂上から見た白神の山々を説明していただきました。

 夕食の時にはスライドを使用し、北見の岩井さんからは道東の豊かな自然の見所、後藤さんからは沖縄の昆虫についてなど、貴重な話を聞きました。私は白神山地の動植物の特徴を説明しました。

 2日目はカツラなどの見事な黄葉を見ながら、弘西林道を笹内川沿いに向白神岳連峰登山道入口へ向かい、再び3班に分かれて目的の太夫峯へ向かいました。

 黄葉の方はここも昨年より1週間位進み方が早く、ミネカエデは見頃でしたが、最大の目的である広大なブナ林の黄葉は終わっていました。太夫峯の8合目に達した頃、天候が悪くなりガスが濃くなってきたので、残念ながら引き返すことにしました。

 登山道入口で昼食の後、青森方面の方々は弘西林道から東北自動車道経由、宮城方面のバスは津軽十二湖と「ハタハタ館」に寄り帰りました。

参加者からは、「来年トレッキングを行う際にはまた連絡をほしい」との要望が多く聞かれました。

産経新聞社の小野記者には、2日間重いカメラ器材を持っての取材、たいへんお疲れさまでした。新聞には私たちへの励ましの記事を掲載して頂きまして厚くお礼申し上げます。

また川村(盛岡駅)さんには参加者募集の事務等をとって頂き、お蔭さまで楽しい2日間を過ごすことができました。(おわり)


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〜新入会員紹介〜

今野 美江子 (Mieko Konno) さん

昭和24年生まれ 会社員

〒986-0311

宮城県桃生郡桃生町太田字袖沢44

TEL 0225-76-4606

「社会に一言」・・・自然を大切に

★東北地方の主だった山は踏破されたそうです。

熊谷 鉄雄 (Tetsuo Kumagai)さん

昭和15年生まれ 

津軽森林管理署黒石森林管理センター勤務

〒038-0101 

青森県南津軽郡平賀町大字光城三丁目33

TEL 0172-44-1598

★ 青森県の自然観察指導員として活躍されています。フィールドは白神山地の暗門ノ滝周辺と青森県民の森が中心です。


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会員からのお便り

 カメムシの多い家に住んでいる

菊地美和 (山形村)

正式名はシュルツェマダニだったんですね。

 前号の「マダニ」の話を読んで、数年前、北海道の北部ピヤシリ山のふもとで造林作業をしていた頃遭遇した「ヤツ」らのことを思い出してしまった。

 植林、下刈り、枝打ち、除伐が主な仕事だったとにかくカ、ブヨ(ブユだったんですね)が多かったので、対策として着物は上下とも2枚重ね(夏でも)、腕ぬきと防虫ネット、はっかスプレー。しかしダニだけは防げなかった。

 作業中「もしや」と思い、探るとこんな所にイボがある…わけないので、少し覚悟を決めてなるべく根元の方をぎっちりつまんでとる。若干の抵抗が感じられるが食い付きはじめは取れる。一応目の前に持ってきて口がついているか確認する。そして爪と爪とでぷちっと確実につぶす。(ごめんなさい)

 背丈より高いチシマザサの中での枝打ち除伐は、ダニさんいらっしゃいと言っているようなものだった。ちなみに、カラマツの下に多くトドマツはさほどでない、というのが通説だった。

 休憩時や昼休みにはまずダニ検査をする。(もちろん女同士で)目をこらして互いの背中を見合うのがさながらサルのノミ取りを彷彿とさせる。いつだったか、隣の人が前の人の上着をめくった時、白いTシャツの真中に7匹ほど固まっていた。瞬間クモの子をちらすように四方へわやわやと広がり、休憩バスの中はしばし賑やかになった。

東北に戻ってきたし、ササこぎ回数も減ったせいか、遭遇回数はめっきり減った。

八戸市 斎藤紀子

山の上にも三年

私が山歩きをはじめたのは看護学生の時からです。寮の先輩に、近くの山の山開きに三年間参加すると国家試験に合格できるジンクスがあると言われ、必死で参加した覚えがあります。(おかげで看護婦になることができました。)

 結婚してからは仕事と子育てに追われ、山どころではなくなりましたが、子づれでハイキングやキャンプをして自然に触れていたように思います。子供達が巣立ちはじめ、今後は自分の気持ちに正直に好きな事をしようと考えたら、山歩きでした。日常は効率優先で競争を強いられる生活ですが、自然に触れるとそれらから解放され、本来の自分にもどれるように思います。自分も動物も木も草も、同じく自然界を構成している生き物と感じることができるからでしょうか。

 今後はせめて、木や草や花の名前を覚え、もっと親しみをもって観察したいものだと思っています。(ようやくブナの木だけは区別できるようになりました。)そして、いつか自分の孫達に自然とのつきあい方を教えることができたら、ちょっぴり自然保護にもなるかなと夢をえがいているところです。

*おわび*

よりたくさんの方(特に新入会員の方)に原稿を書いてもらおう!とN大編集長がはり切ったところ、お蔭様で記事がたっぷり集まったのですが、K編集員のチカラ不足により紙面に収めきれませんでした。次号(新世紀号!)に掲載させていただきますのでお許しを・・・。

(FK)


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 虫さんのおはなし カメムシぞろぞろ

                        後藤 純子

  この秋、山間に面した家々から、たくさんの悲鳴が上がりました。秋が深まるにつれ、カメムシ達が越冬場所を求めて、家の中にぞくぞく侵入してきたのです。

 今さら言うまでもありませんが、カメムシは、あの悪臭のために「へっぴりむし」などと呼ばれています。この秋に見た限りでは、クサギカメムシという種類が多く侵入したようです。クサギカメムシは、体長14〜18mmとカメムシの中では比較的大型で、臭いも強烈です。体は暗褐色で美しくもなく、ときにはりんごなどの果実に害を与えるので、救いようのない嫌われ者です。そんな虫に、大挙して押しかけられては、たまったものではありません。

 ところで、毎年のようにカメムシを見る方々も、「今年は特に多いのでは」と言っています。その点については定かでないですが、この夏の暑さと山の餌を考えれば、本当にカメムシが増えていたとしても頷けます。

 クサギカメムシに限らず、多くのカメムシは、植物の種子や果実を餌にしています。あくまでも想像ですが、春の杉花粉情報では「東北地方は多い」だったことから、杉の球果も多く実ったと思われます。さらに、秋にはブナの実が豊作だったこともあり、カメムシの餌となる山の木の実も十分あったと推測されます。

 さて、家に侵入したカメムシ達は、今後どうなるのでしょうか?彼らは、寒くなると物陰に潜んで越冬し、翌春外へ飛び出します。家の中で繁殖したりしないことがせめてもの救いです。(ホントだねー)

山菜のんべ教室

吉川 進

ミズ(ウワバミソウ)の一本漬け

〈材料〉

ミズ…新鮮でみずみずしい品物。太いもの。

根元数センチを切り落とし、茎を使う。

ダシ汁…好みでよいが、コンブ、カツオ、ミリン

(酒)、塩、唐ガラシ等でダシ汁を作り、冷ましておく。

〈作り方〉

ミズの茎(皮のついたもの)を湯通しし、サッと冷水に取り冷ます。緑色が鮮やかる。

※ミズの長さは容器(タッパー)に合わせて調整。

ミズを冷やしたら容器に揃えて入れ、それに冷めたダシ汁をたっぷり入れ、フタを閉めて冷蔵庫に入れておく。一晩位で食べられる。早めに食す

ミズのたたき

〈材料〉

ミズ…赤いミズの根(一本漬けで切り落とした根元でもよい)。皮をむかないで皮つきの

ままよく洗いヒゲ根を取る。

シソ入りウメ干し漬…アンズ等でも良い。

酸っぱいほうが良い。

調味料…塩、砂糖(白)、青ナンバン

〈作り方〉

上記材料を一緒にミキサーに入れ、少し荒目に仕立て上げる。ミズ以外の材料は好みに合わせるとよい。

(例)ミョウガ、ワサビ、レモン、シソ、ハチ密、ショウガ等。要はミズの青くさみを取る。すぐ食べられる。保存は冷蔵庫で。早めに食す。


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 森は尽きないエネルギー ・

私の勤務する山形村で月ノ輪グマが捕獲された。デントコーン畑を荒らすためワナをかけられて。

 昔の人は熊なんか見たこと無いと決まって言う。熊は奥山に住んでいたからだ。山の実が少ない年、人間様との摩擦がおきる。奥地近くに畑ができたとも言えるが、奥地林伐採も影響しているらしい。そこで私はクリ、ナラ、ミズキ、山ブドウ、サルナシなど国有林人工林の中にまで残すよう心がけている。70%を占める民有林もそうしたい。

 昔はケガジ(凶作)年は山の木の実やコンブを保存、飢えをしのいだ。人間も食える。中山間地域はキノコ、山菜の収入も少なくない。森のエネルギーをもっと見直そう。

中野 雅幸


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連 載 白神岳(白神山)の名称由来の考察 <その1>    吉川 進

 1993年にユネスコの世界遺産に登録された「白神山地」について、「白神山」の名称の由来に定説らしいものがないと言われているので、考察を試みることとした。

 地理院発行や林野庁(営林局・署)で使用している各種地図には、「白神山」ではなく「白神岳」及びそれと向かい合って対峙している山も「向白神岳」の名称で記されている。いま営林局に残されている宝暦3年(1753年)に作成された『津軽領内山沢図』(1739年から1745年の調査成果)にも「白神嵩」「白神沢」と記載されていることから、「白神岳」の名称は、きっとその時代以前にさかのぼって命名されたものと思われる。

 地名や山、沢の名称をみた場合、自然の状態や歴史、土着の産業や民衆の文化、生活、信仰等に関連することが多いことに注目することが必要だ。

 そこで、津軽地方の山岳信仰に目を向けると、最も有名で人気の高いのは、岩木山(別称−津軽富士)であり、五穀豊穣祈願を筆頭に民衆生活の安定を祈り、山岳信仰の象徴的存在となっている。

 この岩木山信仰との関連で登場する民衆信仰のチャンピオン的存在がオシラサマ。オシラサマの響きがなんとなく「白神」に通ずる様な気がしてこれを少し掘り下げることとした。

 オシラサマはシラカミサマとも言って、津軽の総本山と言える弘前の久渡寺を見落とす訳にはいかない。

オシラサマ信仰は、青森、岩手をはじめ、関東、中部方面にも広く伝わっていて、共通している伝承物語は、馬とお姫様の悲恋の物語であり、その忘れ形見が蚕(かいこ・飼う蚕)とされている。

 オシラサマ信仰は、養蚕すなわち生糸・絹糸の豊産にささげた祈りだと言える。そこで久渡寺について調べてみたのだが、残念ながら正解につながらなかった。久渡寺の歴史は古いのだが、オシラサマを祀ったのが明治になってからと伝えられていることから、オシラサマ信仰すべてをここからだけ引き出すのは少し無理があるけれど、民衆信仰と山岳信仰が結合されていることを確かめることが出来る。 オシラサマ信仰のルーツを求めるには、久渡寺にオシラサマが祀られた明治時代以前、津軽地方に蚕・養蚕が入ってきた時代にさかのぼる必要がある。

 生糸生産の元祖は中国で、紀元前の大昔にさかのぼり、BC3000年頃と言われている。その広まりは、シルクロードを通りヨーロッパやアジアに及ぶ訳だが、日本に伝わったのは西暦300年頃と言われており、それから日本各地に時間をかけてしみわたっていく。

 そして、白神岳の所在地・津軽地方にも伝わってくるのだが、本格的に技術が導入されるのは1600年代から1700年代となり、京都方面の本場から技師がきて広められたことが歴史に残されている。

 養蚕が盛んになり、民衆の中に産業として定着するに従い、その豊産を祈る信仰も伝わってきても不思議はなく、祀られているオシラサマの御神体は、やはりと言おうか、桑の木で作られている。蚕は桑の葉を食べて糸を吐く訳だから納得のいくハナシでもある。

 これがまた、山岳信仰にも結びついていくことになる津軽の「白神岳」同様に北海道渡島半島の「白神崎」にもオシラサマが祀られているということから、「白神」と「オシラサマ」の関連はますます切り離せぬものと考えられる。

 そこで、日本の養蚕のルーツと信仰、山の名称、特に「白神」に通ずる名称も検討する必要が出てくる。 (次号につづく)


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編集後記  

(岩手県では)IBCテレビ毎週日曜日朝10時放映の「今、きらめいて」に、12月3日、会員の万澤安央さんが登場、『人生トライアル』と題しその夢追い、人慕い、大地愛す印象的な生き様を見せて下さいました。万澤さんは毎年岩手県北で開催されるオートバイレース「出光イーハトーブトライアル」大会会長の他、グリーンツーリズム推進アドバイザーなども勤める大変多忙な方です。ところで番組で私が耳目を奪われたのは万澤さん企画の「岩手地饅」。“地ビール”があるなら“地饅頭”があって良い、いやビール以前に日本は全国饅頭だらけなんですが、ついに冠岩手の饅頭が!長野の“おやき”から発想し、試作・販売へと人々を駆り、各地で展開の目論見を・・・。この「岩手地饅物語」、万澤さん自身の筆によりこの会報で紹介して頂けることになりました。次号をお楽しみに!なおこの“地饅”、目下のところ安代町の湯葉が絶品(万澤さん談)のお豆腐屋さん「ふうせつ花」で買えるそうです。(FK)