岩手山は噴火するか?川村晃寛
連載 なしてあそごさ山あるべ〜のんべのための地圏講座〜
岩手山の噴火が騒がれてから早や3年経とうとしています。以前は関西の人間から「岩手山噴火したんだって?大変だねぇ」などと言われ、全国的にも注目されていたけど、今では有珠山、三宅山の噴火の陰に隠れて話題にすら上りません。我々地質屋の間では日本は短期的な地殻や火山の活動期に入ったとも疑われていています。この2〜3年で、以下の火山が活発化しているのをご存じでしょうか?岩手山は特別でなくなってきました。
有珠山、樽前山、十勝岳、雌阿寒岳、駒ヶ岳(以上北海道)
岩手山、磐梯山、浅間山、富士山、霧島山、三宅島
これらの火山では、噴気活動や火山性地震が目立ってきています。富士山では地下深部の流体(マグマ)の動きに関連があるといわれる低周波地震が昨秋から急増しています。
岩手山の現況はどうなのでしょうか?

グラフは'98からの月ごとの火山性地震の回数を示しています。'98.9の岩手山南西地震以後は、回数が激減かつ低落傾向でもうすぐ終息するように見えます。
しかし、縦軸を対数目盛にするとその下のグラフのように全く違った印象を与えます。'98.10以降は若干活動を弱めながら、ある一定のレベルを維持していると読みとれます。このグラフは地震の大きさを示すマグニチュードを評価していないなど科学的に意味のあるものではありませんが、カタストロフィックで加速度的に増加する自然現象を線形的に把握するための一手法であるといえます。気象庁が「活動は依然高いレベルにある」と言っているのは、この他にも噴気活動が盛んなせいもあります。上のイラストは岩手山を東北道松尾八幡平IC付近から見た感じを描きました。天気が良ければ絵のように黒倉山からの噴気が見えます。
岩手山は近いうちに噴火するでしょうか?それは誰にも分かりませんが、水蒸気爆発程度の比較的小さいものはいつでも起こり得るはずです。ただ、武闘派(!?)火山学者である群馬大の早川先生は以下のようなことを述べています。
「'98.9の地震以降地殻変動は収まっており、地表の熱異常はその余効効果である」と...。
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